宇宙エレベーターとは、地上と宇宙空間を全長約96,000kmのケーブルで結ぶ巨大な輸送構造物です。 ロケットを使わずに人や物資を宇宙に運べるため、輸送コストはロケットの約100分の1になると試算されています。大林組は2050年の実現を目指し、建設費10兆円・工期25年の構想を発表しています。
この記事は「宇宙旅行完全ガイド」の詳細記事です。
宇宙エレベーターの基本構造
宇宙エレベーターは主に4つの要素で構成されます。
| 構成要素 | 説明 | 高度 |
|---|---|---|
| アースポート(地上基地) | 赤道付近の海上に設置される発着施設 | 地上 |
| テザー(ケーブル) | カーボンナノチューブ製の超高強度ケーブル | 地上〜96,000km |
| 静止軌道ステーション | 静止軌道上の中継基地 | 36,000km |
| カウンターウェイト | ケーブルを張るための重り | 96,000km |
クライマー(昇降機)がテザーに沿って時速200kmで上昇し、約7.5日で静止軌道ステーションに到達します。ロケットのような爆発的な加速が不要なため、誰でも安全に宇宙に行ける手段として期待されています。
素材の課題 — カーボンナノチューブは実用化できるのか
宇宙エレベーターの最大の技術的課題はテザー(ケーブル)の素材。地球の重力に耐えながら96,000kmもの長さを支える強度と軽さが必要で、現在の候補はカーボンナノチューブ(CNT)です。
| 素材 | 引張強度(GPa) | 必要強度との比較 |
|---|---|---|
| 鉄鋼 | 0.4 | 必要強度の約1/150 |
| ケブラー | 3.6 | 必要強度の約1/17 |
| カーボンナノチューブ(理論値) | 63 | 必要強度を満たす |
| カーボンナノチューブ(実測値) | 約11 | まだ不足 |
理論値では十分な強度を持つCNTだが、現時点で長尺のCNTを均一な品質で製造する技術は確立されていない。2023年に清華大学のチームが長さ数十cmのCNTの合成に成功しており、少しずつ実用化に近づいている。
現在の開発状況
民間企業の参入
宇宙エレベーターの発想自体は、それこそ小説、漫画、アニメ含め様々なSFもので登場しました。近年では、宇宙エレベーターの実現に向けて、民間企業が積極的に参入しています。
大林組
2050年までの宇宙エレベーターの実現を目指して研究開発を進めています。
カーボンナノチューブ製のケーブルやクライマーの開発が終了し、2025年にアース・ポートの着工ができれば、25年間の建設工期で、2050年から静止軌道ステーションの供用が開始できる
https://www.obayashi.co.jp/kikan\_obayashi/detail/kikan\_53\_idea.html
ただしかかるコストは10兆円で建設期間は20年。国家プロジェクト並ですね。
ちなみに国際宇宙ステーション(ISS)は建設費は約5兆円だったそうです。あくまで推定値であり、実際の費用はこれより多少異なる可能性がある上にNASAやJAXAからの情報はないのであくまで推測だと思ってください。
楽しみな上で、実現可能か小さく検証する必要もありそうですが、そのステップの刻み方が不透明な上で国際的な協力なしでは進まなさそうな計画だと推察します^^;
●宇宙開発には莫大な費用がかかる
・国際宇宙ステーションの建設費 → 約400億ドル(約5兆円)
(当初予定よりも大幅にふくらんでいる。日本の負担は約6000億円)
・1回のスペースシャトルの打ち上げ費用 → 約5億ドル(約600億円)
・1回の無人ロケットの打ち上げ費用 → 1億ドル~2億ドル(100億円~200億円)
(日本のH2ロケットの場合、約200億円)比較 日本の国家予算
・発展途上国への援助(ODA)予算(2002年度) → 8566億円
・公立の小・中・高等学校の校舎改築などのための予算(2002年度) →1515億円
・ガン関連の年間研究予算(2001年度) → 140億円
・アレルギー疾患や感染症治療のための年間研究予算(2001年度) → 53億円
・ES細胞等を利用した再生医療の年間研究予算(2001年度) →80億円
・スーパーカミオカンデの建設費用(総額) →約100億円https://www.ne.jp/asahi/box/kuro/report/space2.htm
日経BP社「日経ニューメディア」編集部で宇宙開発関連の記事を担当している松浦 晋様のブログより(現在は閉鎖)
Liftport
2012年にはKickstarterにてクラウドファンディングプロジェクトで約$110,000(1,600万円)調達するなど資金調達も周知活動も積極的です。2045年までに宇宙エレベーターの建設を開始することを目標としています。
ただしそれ以降調達は行なっておらず、Kickstarterでも進捗のなさから批判が殺到しているようです^^;
これらの民間企業は、独自の技術開発を進めるとともに、政府機関との連携や国際的な共同研究などを通じて、宇宙エレベーターの実現に向けた取り組みを加速させています。
課題と展望
実は宇宙エレベーターは1970年代から何度も登場し挫折を繰り返してきました。実現には技術的な課題だけでなく、経済的な課題や環境的な課題も存在します。
技術的な課題
- 素材開発:従来の素材では実現できない強度と軽さを持つ新しい素材が必要です。
- 建設技術:地上から宇宙空間まで数十万kmのケーブルを建設する技術が必要です。
- エネルギー:ケーブルを支えるための巨大なエネルギーが必要です。
- 安全性:宇宙エレベーターの安全性確保は重要な課題です。
- 環境への影響:宇宙エレベーターの建設が環境に与える影響を評価する必要があります。
経済的な課題
- 建設コスト:宇宙エレベーターの建設には膨大なコストがかかります。
- 収益モデル:建設コストを回収し、利益を生み出すための収益モデルが必要です。
環境的な課題
- 宇宙空間の環境への影響:宇宙エレベーターの建設が宇宙空間の環境に与える影響を評価する必要があります。
- 地球環境への影響:宇宙エレベーターの建設が地球環境に与える影響を評価する必要があります。
これらの課題を克服するためには、ISSのような国際的なプロジェクトとし官民一体となった取り組みが必要となります。
宇宙エレベーターが実現すれば、以下のようなメリットが期待できます。
- 宇宙へのアクセスが飛躍的に向上し、宇宙旅行や宇宙開発がより身近なものになる。
- 人工衛星の打ち上げコストが大幅に削減され、宇宙空間の利用が促進される。
- 地球と宇宙間の物流が効率化され、宇宙資源の開発が可能になる。
理想的な宇宙エレベーターができれば、ロケットの打ち上げ頻度を減らすことができて衛星も自由に軌道を選べる。スペースデブリの除去も容易になる、そんな気がしますね。
NASAの動き
2010年にLiftportとのプロジェクトが頓挫して以来、進捗は見られませんでした。アルテミス計画・超音速飛行機を優先している印象です。
よくある質問(FAQ)
Q. 宇宙エレベーターはいつ実現しますか?
大林組は2050年の実現を目指す構想を発表していますが、最大の課題であるカーボンナノチューブ(CNT)ケーブルの量産技術がまだ確立されていません。現時点では2050年代以降の実現が現実的な見通しです。
Q. 宇宙エレベーターの建設費用はどのくらいですか?
大林組の構想では建設費約10兆円、工期25年と試算されています。莫大な費用ですが、完成すれば1kgあたりの輸送コストはロケットの約100分の1に下がるため、長期的には宇宙輸送の革命になると期待されています。
Q. 宇宙エレベーターに乗ると宇宙まで何日かかりますか?
大林組の構想では、地上から高度36,000kmの静止軌道ステーションまで約7.5日(片道)を想定しています。時速200kmのクライマー(昇降機)で移動する計画で、ロケットに比べると時間はかかりますが、安全性と低コストが大きな利点です。
まとめ
ロケットから飛ぶのは、やっぱり怖さもあるので宇宙エレベーターがあると嬉しいなと思う今日この頃ですが道のりは長そうでした。
更新:2024年3月28日に日本が宇宙技術戦略を策定し発表しました。こちらに宇宙ホテルは含まれていませんでした。
出典:
https://www.jsea.jp/
https://www.isec.org/
https://www.liftport.com/
https://www.obayashi.co.jp/