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ブルーオリジン完全ガイド — New Shepard休止・New Glenn成功・月面着陸船の全貌【2026年最新】

#2026年#ブルーオリジン#Blue Origin#New Shepard#New Glenn

credit: Blue Origin https://www.blueorigin.com/ja-JP/about-blue

ブルーオリジン(Blue Origin)はAmazon創業者ジェフ・ベゾスが毎年約1,500億円を投じる宇宙企業です。 宇宙旅行98名搭乗、大型ロケットNew Glenn軌道到達、NASA月面着陸船の開発 — SpaceXに次ぐ世界第2位の民間宇宙企業の全貌を、7つの比較表とともに解説します。2026年はNew Shepardの運航停止、New Glennのブースター再使用、Blue Moon月面着陸船の初飛行と転換点の年です。


この記事は「宇宙旅行完全ガイド」の詳細記事です。

ブルーオリジン社の概要

項目内容
正式名称Blue Origin, LLC
設立2000年9月
創業者ジェフ・ベゾス(Amazon創業者)
本社米国ワシントン州ケント
従業員数約9,500名(2025年時点)
推定年間売上約42億ドル(2025年時点)
モットー”Gradatim Ferociter”(一歩ずつ、大胆に)

ベゾスは高校の卒業式スピーチで「宇宙に人類のコロニーを作る」と宣言し、2021年7月には自らNew Shepardに搭乗して宇宙飛行を体験しました。彼のビジョンは「数百万人が宇宙で生活し、働く未来」であり、そのために必要なインフラを一つずつ構築しています。


New Shepard — サブオービタル宇宙旅行

機体概要

項目スペック
全高約18m(ブースター+カプセル)
エンジンBE-3(液体水素/液体酸素)×1基
推力490kN
到達高度約100km以上(カーマンライン超え)
飛行時間約11分(打ち上げから着陸まで)
乗員最大6名
無重力体験約3〜4分間

飛行実績

New Shepardは2015年11月の初飛行から2026年1月まで、計38回の飛行を実施しました。そのうち有人ミッションは15回で、合計98名がカーマンラインを超えています。

時期主な実績
2015年11月初飛行。ブースターの垂直着陸に成功
2021年7月初の有人飛行(NS-16)。ベゾス本人が搭乗
2022年9月NS-23で打ち上げ失敗。カプセルは緊急脱出で無事
2023年12月NS-24で飛行再開(無人)
2024年5月NS-25で約2年ぶりの有人飛行。90歳の搭乗者を含む6名
2025年2月NS-30で6名搭乗
2025年4月NS-31で歌手ケイティ・ペリーら女性6名が搭乗
2026年1月NS-38で2026年最初の飛行を実施。累計98名に

料金と搭乗方法

正式な公示価格は非公開ですが、初期のオークション席は2,800万ドル(約42億円)で落札されました。その後、料金は下がったとされていますが、依然として数十万ドル〜数百万ドル規模と推定されています。

2年間の運航停止

2026年1月30日、Blue OriginはNew Shepardの飛行を少なくとも2年間停止すると発表しました。NASAのArtemis計画向けBlue Moon月面着陸船とNew Glennの開発にリソースを集中するためです。運航再開は2028年以降の見込みです。


New Glenn — 大型軌道ロケット

機体スペック

項目スペック
全高約98m(2段構成)
直径7m
第1段エンジンBE-4(液化天然ガス/液体酸素)×7基
第1段推力約17,100kN
第2段エンジンBE-3U(液体水素/液体酸素)×2基
LEOペイロード約45トン
GTOペイロード約13トン
フェアリング径7m
第1段再使用可能(垂直着陸回収)

名前の由来は、米国初の有人軌道飛行を行った宇宙飛行士ジョン・グレンです。

飛行実績

ミッション日付ペイロード結果
NG-12025年1月16日Blue Ring Pathfinder軌道投入成功。第1段回収は失敗
NG-22025年11月13日NASA ESCAPADE(火星探査機2基)+Viasat通信テスト軌道投入成功。第1段の着船回収に初成功
NG-32026年2月末予定AST SpaceMobile BlueBird衛星NG-2で回収したブースターを再使用予定

NG-2での第1段回収成功により、ブルーオリジンはSpaceXに次いで世界で2番目に軌道級ブースターの垂直着陸回収を達成した企業となりました。着陸船は「Jacklyn」と名付けられています。

発展型: New Glenn 9×4

2025年12月、New Glennの超大型バージョン「New Glenn 9×4」の開発が発表されました。第1段に9基のBE-4エンジン、第2段に4基のBE-3Uエンジンを搭載し、フェアリング径は8.7mに拡大。打ち上げ能力は大幅に向上する見込みです。


Blue Moon — 月面着陸船

ブルーオリジンはNASAのArtemis計画において月面着陸船を開発しています。

Blue Moon Mk1(ロボット着陸船)

2026年に初飛行予定の無人月面着陸船です。New Glennで打ち上げ、月面に科学機器や物資を輸送します。

Blue Moon Mk2(有人着陸船)

NASAのArtemis V(2029年予定)で使用される有人月面着陸船です。BE-7エンジン(液体水素/液体酸素)を搭載し、宇宙飛行士を月面に送り届けます。液体水素の長期保存を可能にする「ゼロ・ボイルオフ技術」を開発中で、宇宙空間での推進剤移送にも対応予定です。


Blue Ring — 軌道間輸送機

Blue Ringはハイブリッド推進(太陽電池+化学推進)の汎用宇宙輸送機です。複数の衛星やペイロードを搭載し、異なる軌道に配送する「宇宙の宅配便」のような役割を担います。

  • 初飛行: 2026年予定。静止軌道(GEO)へ投入
  • 搭載ペイロード: Optimum Technologies社のCaracal光学センサー(米宇宙軍向け)、Scout Space社のOwlセンサー(宇宙状況監視)
  • 特徴: 大容量電力供給、高い軌道変換能力、複数ミッション対応

Orbital Reef — 商業宇宙ステーション

ブルーオリジンはSierra Spaceと共同で、NASA「商業LEO目的地(CLD)」プログラムの一環として商業宇宙ステーション「Orbital Reef」を開発しています。

項目内容
パートナーSierra Space、Boeing、Redwire、Genesis Engineering Solutions
目的研究、製造、観光、メディア制作
軌道低軌道(LEO)
打ち上げISS退役(2030年予定)後の後継ステーション
国際連携2025年6月にESA(欧州宇宙機関)が協力のMoUを締結

SpaceXとの比較

比較項目Blue OriginSpaceX
設立2000年2002年
創業者ジェフ・ベゾスイーロン・マスク
従業員数約9,500名約13,000名
推定年間売上約42億ドル約150〜160億ドル
企業価値非公開約1兆2,500億ドル(2026年2月、xAI統合後)
主力ロケットNew Glenn(LEO 45t)Falcon 9(LEO 22.8t)/ Starship V3(LEO 150t以上)
軌道打ち上げ回数2回(2025年時点)630回以上(2026年3月時点)
再使用実績NG-2で初の軌道級ブースター回収Falcon 9で589回のブースター着陸成功
宇宙旅行New Shepard(サブオービタル、98名搭乗)Crew Dragon(軌道滞在、Inspiration4等)
月面計画Blue Moon(Artemis V向け)Starship HLS(Artemis III向け、2028年目標
宇宙ステーションOrbital Reefなし(Crew Dragonで輸送のみ)
通信衛星なしStarlink(10,000基同時稼働、加入者1,000万人)
IPO予定なし2026年6月中旬(SEC機密提出準備中)
開発哲学”Gradatim Ferociter”(一歩ずつ大胆に)“Move fast and break things”

SpaceXが打ち上げ頻度と衛星通信事業で圧倒的なリードを持つ一方、ブルーオリジンはサブオービタル宇宙旅行で独自のポジションを確立し、New Glennの軌道到達とブースター回収成功で本格的な競争に参入しました。


ジェフ・ベゾスのビジョン

ベゾスが繰り返し語るのは「オニール・シリンダー」構想です。物理学者ジェラード・オニールが提唱した巨大な宇宙コロニーに数百万人が住み、重工業は宇宙に移転して地球は住居と軽工業のための場所にするというビジョンです。

ベゾスはこのビジョンの実現には「何世代もかかる」と認めつつも、「まず宇宙へのアクセスコストを劇的に下げるインフラ」が必要だと考えています。New Shepardによる宇宙旅行、New Glennによる安価な軌道輸送、Blue Moonによる月面資源利用、Orbital Reefによる宇宙居住 — これらは全てそのインフラの一部です。

毎年約10億ドル(約1,500億円)のAmazon株を売却してブルーオリジンに投資しており、その資金力は同社の最大の強みです。


今後のスケジュール

時期予定
2026年前半New Glenn NG-3(BlueBird衛星、ブースター再使用)
2026年Blue Ring初飛行(GEO投入)
2026年Blue Moon Mk1初飛行(無人月面着陸)
2026年以降New Glenn打ち上げ頻度の向上
2028年以降New Shepard運航再開(見込み)
2029年Artemis VでBlue Moon Mk2使用(有人月面着陸)
2030年代Orbital Reef運用開始

よくある質問(FAQ)

Q. ブルーオリジンの宇宙旅行に一般人は参加できますか?

New Shepardの宇宙旅行は2026年1月を最後に少なくとも2年間休止中です。これまでの搭乗者98名には、18歳の学生から90歳の高齢者まで幅広い年齢層が含まれています。運航再開は2028年以降の見込みで、それまでに料金が変更される可能性もあります。

Q. New GlennとFalcon 9はどちらが大きいですか?

New Glenn(全高98m、直径7m)はFalcon 9(全高70m、直径3.7m)より大幅に大きく、LEOへの打ち上げ能力も約2倍です。ただしStarship(全高121m)には及びません。

Q. ブルーオリジンの宇宙旅行の費用はいくらですか?

公式価格は非公開です。初期のオークション席は2,800万ドル(約42億円)で落札されましたが、その後は数十万ドル規模まで下がったとの報道もあります。比較として、SpaceXのCrew Dragon軌道滞在は1席5,500万ドル(約82億円)程度と言われています。

Q. New Glennの「グレン」は誰の名前ですか?

1962年に米国人として初めて地球周回軌道を飛行した宇宙飛行士ジョン・グレンにちなんでいます。ブルーオリジンのロケットはいずれも宇宙飛行の先駆者の名前が付けられており、New Shepardはアラン・シェパード(米国初の有人宇宙飛行)に由来します。

Q. ブルーオリジンは上場していますか?

いいえ、ブルーオリジンは非上場の民間企業です。資金の大部分はジェフ・ベゾスの個人資産から投じられています。IPO(株式公開)の計画は2026年3月時点で公表されていません。

Q. ブルーオリジンとSpaceXはどちらが優れていますか?

用途が異なるため単純比較はできません。SpaceXはFalcon 9で630回以上の軌道打ち上げ実績を持ち、Starlinkで衛星インターネット事業を展開しています。一方、ブルーオリジンはNew Shepardで98名の宇宙旅行を実施し、New Glennで軌道級ブースター回収にSpaceXに次いで世界2番目に成功しました。SpaceXは規模と打ち上げ頻度で圧倒していますが、ブルーオリジンはNASA Artemis V月面着陸船やOrbital Reef商業宇宙ステーションなど独自の領域を持っています。

Q. ブルーオリジンの日本人搭乗者はいますか?

2026年3月時点で、ブルーオリジンのNew Shepardに搭乗した日本人はいません。ただし、搭乗に国籍制限はなく、料金を支払えば日本人も参加可能です。New Shepardの運航は2028年以降に再開予定で、再開後に搭乗の機会があります。

Q. ジェフ・ベゾスはなぜ宇宙に投資しているのですか?

ベゾスのビジョンは物理学者オニールが提唱した「オニール・シリンダー」構想に基づいています。数百万人が宇宙で生活し、重工業を宇宙に移転することで地球環境を守るという長期構想です。毎年約10億ドル(約1,500億円)のAmazon株を売却してブルーオリジンに投資しており、「宇宙へのアクセスコストを劇的に下げるインフラ」の構築を最優先としています。


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