打ち上げまであと5日 — Artemis 2ロケットは発射台で最終準備中
【3月27日更新】 SLSロケットは3月20日に39B発射台に到着済み。クルー4名は3月27日にフロリダに到着し、日本時間4月2日朝の打ち上げに向けた最終カウントダウンが進行中。
NASAは3月20日に、Artemis 2ミッションのSLS(Space Launch System)ロケットをVAB(Vehicle Assembly Building)から39B発射台へ移動させた。53年ぶりの有人月飛行に向けた最終段階に入っている。
Artemis 2は4名の宇宙飛行士(Reid Wiseman、Victor Glover、Christina Koch、Jeremy Hansen)が月を周回して帰還する約10日間のミッション。月面には着陸しないが、有人での月周回飛行はアポロ17号(1972年12月)以来53年ぶり。打ち上げ当日の中継視聴方法はArtemis II打ち上げ当日ガイドを参照。
出典: Space.com — NASA will roll Artemis 2 moon rocket back to the launch pad on March 20(2026年3月17日)
NASAの月面戦略転換 — 「より達成可能な」アプローチへ
同時にNASAは、従来のArtemis計画のスケジュールを見直し、「より達成可能な(more achievable)」月面探査戦略に転換すると発表した。
何が変わったのか
| 従来の計画 | 新しいアプローチ | |
|---|---|---|
| 重点 | スケジュール重視(期限に間に合わせる) | 持続可能性重視(長期的な月面プレゼンス) |
| Artemis III(有人月面着陸) | 2026年後半 | 2027年中盤に延期 |
| Gateway(月周回ステーション) | Artemis計画の前提 | 中止方針(トランプ政権) |
| 技術ベンチマーク | 野心的 | 現実的に達成可能なレベル |
なぜ転換したのか
- Starship HLS(月面着陸船)の開発遅延
- NASA予算24%削減提案(248億→188億ドル)
- Gateway計画の中止方針
- 技術的・予算的な現実との乖離
NASAは「最もエキサイティングなのは、月の有人探査がどうあるべきかを再考していることだ」と述べており、短期的な目標達成よりも、長期的に持続可能な月面探査インフラの構築に舵を切っている。
出典: Space.com — Beyond Artemis 2: NASA pursuing a ‘more achievable’ path back to the moon(2026年3月18日)
Artemis計画の全体像(2026年3月時点)
| ミッション | 内容 | 時期 |
|---|---|---|
| Artemis 1 | 無人月周回・帰還(完了) | 2022年11月 |
| Artemis 2 | 有人月周回(4名、着陸なし) | 2026年4月2日朝(日本時間) |
| Artemis III | 有人月面着陸(SpaceX Starship HLS) | 2027年中盤 |
| Artemis IV | 月面長期滞在 | 2028年以降 |
| Artemis VII | 日本の月面ローバー「Lunar Cruiser」使用 | 2031年 |
日本人宇宙飛行士2名がArtemis計画で月面に立つことが2024年の日米合意で決定済み。
ISS医療搬送による船外活動延期
3月18日に予定されていたISS船外活動(EVA)は、ISS乗員の医療搬送対応のため延期された。詳細は公表されていないが、ISS運用に影響が出る事態は稀。
よくある質問(FAQ)
Q. ロールアウトとは何ですか?
ロールアウト(Rollout)とは、組立棟(VAB)から発射台(Pad 39B)へロケットを移動させる作業のことです。SLSロケットはクローラー・トランスポーター2で約6.5kmの距離を時速約1.6kmでゆっくりと移動します。所要時間は約8〜12時間です。
Q. NASAが「より達成可能な」戦略に転換した理由は何ですか?
従来のArtemis計画は予算超過とスケジュール遅延が続いていました。NASAは持続可能な月面探査を実現するため、段階的なアプローチに見直しました。商業パートナーとの協力を強化し、現実的なタイムラインで月面基地の建設を目指す方針です。
Q. Artemis 2の打ち上げ後、次のミッションはいつですか?
Artemis 2が成功した後、Artemis 3(有人月面着陸)は2027年以降に計画されています。SpaceXのStarship HLS(月面着陸船)の開発状況に依存するため、正確な時期は未定です。NASAは新しい戦略のもと、持続可能なペースでミッションを進める方針です。
参考としたサイト
- Space.com — NASA will roll Artemis 2 moon rocket back to the launch pad on March 20(2026年3月17日)
- Space.com — Beyond Artemis 2: NASA pursuing a ‘more achievable’ path back to the moon(2026年3月18日)
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