2026年9月7日の夜、日本全国で部分月食が観測できる。月の出直後から東の空で始まるこの天体ショーは、特別な機材なしで誰でも楽しめる。同年3月3日の皆既月食に続く2回目の月食イベントとなる。
この記事は「天文カレンダー2026 完全ガイド」の詳細記事です。
2026年9月7日 部分月食の基本データ
| 項目 | データ |
|---|---|
| 日付 | 2026年9月7日(月曜日) |
| 月食の種類 | 部分月食 |
| 食分(最大) | 0.93(月の約93%が本影に入る) |
| 半影食の開始 | 16時29分(JST) |
| 部分食の開始 | 17時28分(JST) |
| 食の最大 | 19時12分(JST) |
| 部分食の終了 | 20時57分(JST) |
| 半影食の終了 | 21時56分(JST) |
| 月齢 | 14.5(満月) |
| 方角 | 東~東南東の空 |
食分0.93は「ほぼ皆既」に近い深い部分月食だ。月のほとんどが地球の本影に入るため、本影に覆われた部分が赤銅色に染まる壮大な光景が期待できる。
日本での観測条件
全国で観測可能
今回の部分月食は日本全国で観測できる好条件だ。部分食の開始が17時28分と早い時間帯のため、月の出の時刻が重要になる。地域によっては月の出直後に部分食が始まっている状態で月が昇ってくる。
観測のポイントは以下の通り。
- 方角: 東の低い空から昇ってくるため、東方向の視界が開けた場所を確保する
- 高度: 食の最大(19時12分)の時点で月の高度は約15~25度。低い位置にあるため、建物や山が障害になりやすい
- 天候: 9月上旬は残暑の時期で、夕立や雲が発生しやすい。天気予報を事前に確認しておきたい
地域別の月の出時刻
各地の月の出時刻と、部分食開始時の月の状態をまとめた。
| 地域 | 月の出時刻 | 部分食開始時の状況 |
|---|---|---|
| 札幌 | 17時39分 | 月の出前(昇った時点で食が進行中) |
| 東京 | 17時45分 | 月の出前(昇った時点で食が進行中) |
| 大阪 | 18時01分 | 月の出前(昇った時点で食が進行中) |
| 福岡 | 18時18分 | 月の出前(昇った時点で食が進行中) |
| 那覇 | 18時19分 | 月の出前(昇った時点で食が進行中) |
いずれの地域でも月の出は部分食開始後となるため、月が東の地平線から昇ってきた時点ですでに欠けた状態の月が見える。食の最大(19時12分)から部分食の終了(20時57分)までは全国で観測可能だ。
部分月食のメカニズム
地球の影の構造
月食は太陽・地球・月が一直線に並ぶことで発生する。地球は太陽の光を遮り、宇宙空間に2種類の影を作る。
- 本影(ほんえい): 太陽の光が完全に遮られる濃い影の領域。月がこの影に入ると暗く、赤みを帯びて見える
- 半影(はんえい): 太陽の光が部分的に遮られる薄い影の領域。月がこの影に入ってもほとんど明るさは変わらず、肉眼では気づきにくい
部分月食では、月の一部が本影に入り、残りの部分は本影の外(または半影の中)にある状態が続く。今回は食分0.93と非常に深い部分月食のため、月のほぼ全体が本影に覆われる。
なぜ赤くなるのか
地球の本影に入った月が完全に真っ暗にならず赤く見えるのは、地球の大気がプリズムの役割を果たすためだ。太陽光が地球の大気を通過する際、波長の短い青い光は散乱されてしまい、波長の長い赤い光だけが屈折して月面に到達する。夕焼けが赤い原理と同じ現象が月面で起きていると考えるとわかりやすい。
今回の部分月食では、本影に覆われた部分は赤銅色に、本影の外にある約7%の部分は通常の明るさを保つ。この明暗のコントラストが部分月食ならではの見どころだ。
観測に必要な準備
基本的な準備
部分月食の観測は特別な機材を必要としない。日食と異なり、月食は肉眼で安全に観測できる。
- 肉眼: 月の色の変化や形の変化を十分に楽しめる。最も手軽な観測方法
- 双眼鏡(7~10倍): 月面のクレーターが影に覆われていく様子まで観察できる。推奨の機材
- 天体望遠鏡: 月面の細部が影に飲み込まれる過程を詳しく観察できる
- レジャーシート・椅子: 長時間の観測になるため、座って楽しめる準備をしておくとよい
- 虫よけスプレー: 9月の夕方は蚊が多い時期。屋外観測では必須
観測場所の選び方
東の空が開けた場所を選ぶのが最も重要だ。月の出直後は高度が低いため、海岸、河川敷、高台、屋上などが適している。街灯の少ない場所であれば、赤銅色の変化がより鮮明に見える。
撮影方法
一眼カメラの設定
| 食の段階 | ISO感度 | 絞り | シャッタースピード | 焦点距離 |
|---|---|---|---|---|
| 部分食(明るい部分あり) | 400~800 | F8 | 1/250~1/500秒 | 300mm以上 |
| 食の最大(食分0.93) | 1600~3200 | F5.6 | 1/30~1秒 | 300mm以上 |
| 部分食(回復期) | 400~800 | F8 | 1/250~1/500秒 | 300mm以上 |
三脚とレリーズ(リモートシャッター)は必須だ。食の最大付近ではシャッタースピードが遅くなるため、手持ち撮影ではブレてしまう。インターバル撮影で食の進行を連続的に記録し、後から合成すると月が欠けていく過程を1枚の写真にまとめられる。
スマートフォンでの撮影
| 項目 | 設定・コツ |
|---|---|
| ズーム | 光学ズーム最大(デジタルズームは画質が低下する) |
| 露出 | 月をタップしてフォーカスを合わせ、露出を下げる |
| 三脚 | スマホ用三脚アダプターを使用(手持ちは不可) |
| ナイトモード | オフ推奨(月が白飛びしやすい) |
| 動画 | 4K動画で撮影し、後からスクリーンショットを切り出す方法も有効 |
スマートフォンのカメラでも月食の雰囲気は記録できるが、月を大きく写すには限界がある。双眼鏡や望遠鏡の接眼レンズにスマートフォンを当てて撮影する「コリメート法」を使えば、月面の詳細も撮影可能だ。
2026年3月3日の皆既月食との比較
2026年は月食が2回発生する。3月の皆既月食と9月の部分月食を比較してみよう。
| 項目 | 3月3日(皆既月食) | 9月7日(部分月食) |
|---|---|---|
| 種類 | 皆既月食 | 部分月食 |
| 食分 | 1.0以上(全体が本影に入る) | 0.93(93%が本影に入る) |
| 皆既/最大の継続時間 | 約59分 | - |
| 日本での観測 | 全国で全過程を観測可能 | 全国で食の最大以降を観測可能 |
| 月の色 | 月全体が赤銅色に染まる | 93%が赤銅色、7%が明るいまま |
| 観測時間帯 | 18時50分~22時18分 | 17時28分~20時57分 |
3月の皆既月食は月全体が赤く染まる壮大な現象だったが、9月の部分月食も食分0.93と非常に深く、ほぼ皆既に近い迫力がある。明るい部分と赤い部分のコントラストは部分月食ならではの魅力だ。
2024~2030年の月食スケジュール
今後の主な月食をまとめた。日本から観測可能な月食は限られるため、事前のチェックが重要だ。
| 日付 | 種類 | 食分 | 日本での観測 |
|---|---|---|---|
| 2024年9月18日 | 部分月食 | 0.08 | 観測可能(食分が小さい) |
| 2025年3月14日 | 皆既月食 | 1.18 | 観測条件は厳しい |
| 2025年9月7日 | 皆既月食 | 1.36 | 全国で観測可能 |
| 2026年3月3日 | 皆既月食 | 1.15 | 全国で観測可能 |
| 2026年9月7日 | 部分月食 | 0.93 | 全国で観測可能 |
| 2028年12月31日 | 皆既月食 | 1.22 | 全国で観測可能 |
| 2029年6月26日 | 部分月食 | 0.25 | 観測条件は厳しい |
| 2029年12月20日 | 皆既月食 | 1.12 | 全国で観測可能 |
2026年9月の部分月食の後、日本で次に好条件で観測できる月食は2028年12月31日の皆既月食だ。大晦日の天体ショーとして今から注目されている。
よくある質問(FAQ)
Q. 部分月食は肉眼で見えますか?
見える。月食は日食と異なり、特殊なフィルターなしで安全に肉眼で観測できる。食分0.93と深い部分月食のため、月が大きく欠ける様子がはっきりとわかる。
Q. 曇りの場合はどうなりますか?
雲に覆われると月食は見えない。9月上旬は天候が不安定な時期のため、当日の天気予報を確認し、必要であれば雲の少ない地域への移動も検討したい。ライブ配信で観る方法もある。
Q. 子どもと一緒に観測できますか?
できる。食の最大が19時12分と比較的早い時間帯のため、小さな子どもでも無理なく観測できる。月が欠けていく様子は天文学への興味を育てるよい機会になる。
Q. 次に日本で見られる月食はいつですか?
日本から好条件で観測できる次の月食は2028年12月31日の皆既月食だ。約2年後となるため、今回の部分月食は貴重な観測機会といえる。
画像: NASA(パブリックドメイン)