2024年から2041年までに起こる日食・月食は全18回以上 — そのうち日本で観測できるのはわずか3回です。次の皆既日食は2026年8月12日にスペイン・アイスランドで起こり、1905年以来121年ぶりの歴史的イベントとなります。日本で次に皆既日食が見えるのは2035年9月2日。この記事では全日食・月食を年別テーブルで整理し、観測地域・時刻・食分、安全な観測方法まで網羅します。
この記事は「天文カレンダー2026」の詳細記事です。
日食の仕組み — なぜ太陽が隠れるのか
日食は、月が地球と太陽の間に入り、太陽の光を遮る現象です。月の見かけの大きさと太陽の見かけの大きさがほぼ同じであるという偶然によって、地球上で日食が起こります。
3種類の日食
| 種類 | 仕組み | 見え方 |
|---|---|---|
| 皆既日食 | 月が太陽を完全に覆う | 太陽のコロナ(外層大気)が輝く。昼間が数分間夜のようになる |
| 金環日食 | 月が太陽の中心を覆うが、月が遠くにあるため太陽の縁がリング状に見える | 太陽の周囲に光の環(リング)が残る |
| 部分日食 | 月が太陽の一部だけを覆う | 太陽が欠けて見える |
なぜ毎月起きないのか
月は約29.5日で地球を一周しますが、月の軌道面は地球の公転面(黄道面)に対して約5度傾いています。そのため、新月のたびに月の影が地球に落ちるわけではなく、月の軌道面と黄道面が交わる「交点」付近で新月を迎えたときだけ日食が発生します。皆既日食が同じ場所で見られるのは平均375年に1回という珍しい現象です。
月食との違い
月食は地球の影に月が入る現象で、日食とは逆の配置です。月食は月が見えている地域であればどこからでも観測できますが、日食は月の影が地球上に落ちる狭い範囲でしか見られません。
2026年の日食・月食(直近の注目イベント)
2026年8月12日 — 皆既日食(グリーンランド・アイスランド・スペイン)
2026年最大の天文イベントです。1999年以来のヨーロッパ本土での皆既日食であり、スペインでは1905年以来121年ぶりとなります。皆既帯はスペインの国土の約40%を覆い、バレンシア、サラゴサ、ビルバオなどの主要都市で皆既日食を体験できます。
| 地域 | 皆既の時刻(現地時間) | 継続時間 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| グリーンランド北部 | 午前 | 約2分10秒 | 北極圏で最初に皆既帯が通過 |
| アイスランド西部 | 17:44頃(GMT) | 約1分30秒 | イーサフィヨルズル付近 |
| スペイン北部〜東部 | 日没約1時間前 | 約1分50秒 | 夕焼け空に浮かぶ皆既日食 |
スペインでの特別な観測条件: 日没直前に皆既食が起こるため、夕焼けの中でコロナが輝くという幻想的な光景になります。また太陽活動が極大期にあるため、普段より活発なコロナが観測できると期待されています。
日本からは見えません。ヨーロッパ、アフリカ、北米の広域で部分食が観測できます。日本からの観測ツアーは阪急交通社やスワンインターナショナルなどが催行予定です。
2026年2月17日 — 金環日食(南極大陸)
金環帯は南極大陸を通過。アフリカ南部・南米の一部で部分食が見られます。日本からは見えません。
2026年3月3日 — 皆既月食(日本全国で観測可能)※終了
2026年で最も注目の天体イベントでした。日本全国で皆既月食の全過程を観測できました。
| 段階 | 時刻(日本時間) |
|---|---|
| 部分食の始まり | 18:50 |
| 皆既食の始まり | 20:04 |
| 食の最大 | 20:34 |
| 皆既食の終わり | 21:03 |
| 部分食の終わり | 22:18 |
月が地球の影に完全に入り、赤銅色に染まる「ブラッドムーン」が観測されました。前日の3月2日にはレグルス食(月がしし座の1等星を隠す現象)もあり、二夜連続の天体ショーとなりました。
2026年8月28日 — 部分月食
南北アメリカ、ヨーロッパ、アフリカで観測可能。日本からは見えません。
日食カレンダー(2024〜2041年)
| 日付 | 種類 | 主な観測地域 | 最大食分 | 最大継続時間 | 日本 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2024年04月09日 | 皆既日食 | 北米(メキシコ・米国・カナダ) | 1.057 | 4分28秒 | |
| 2024年10月03日 | 金環日食 | 南米南部、南太平洋 | 0.933 | 7分25秒 | |
| 2025年03月29日 | 部分日食 | 北大西洋、ヨーロッパ北部 | 0.938 | — | |
| 2025年09月22日 | 部分日食 | 南極、ニュージーランド | 0.855 | — | |
| 2026年02月17日 | 金環日食 | 南極大陸 | 0.963 | 2分20秒 | |
| 2026年08月12日 | 皆既日食 | グリーンランド、アイスランド、スペイン | 1.039 | 2分18秒 | |
| 2027年02月07日 | 金環日食 | 南太平洋、南米、南大西洋 | 0.928 | 7分51秒 | |
| 2027年08月02日 | 皆既日食 | アフリカ北部(エジプト・リビア)、インド洋 | 1.079 | 6分23秒 | |
| 2028年01月27日 | 金環日食 | 南米北部、大西洋 | 0.921 | 10分27秒 | |
| 2028年07月22日 | 皆既日食 | インド洋、オーストラリア、ニュージーランド | 1.056 | 5分10秒 | |
| 2029年01月15日 | 部分日食 | 北米 | 0.871 | — | |
| 2029年06月12日 | 部分日食 | 北極付近、ヨーロッパ北部 | 0.458 | — | |
| 2029年12月05日 | 部分日食 | 南極付近 | 0.891 | — | |
| 2030年06月01日 | 金環日食 | 日本(北海道〜本州北部)、ユーラシア大陸北部 | 0.944 | 5分21秒 | ○ |
| 2030年11月25日 | 皆既日食 | アフリカ南部、南インド洋、オーストラリア | 1.047 | 3分44秒 | |
| 2031年05月21日 | 金環日食 | アフリカ南部、インド洋 | 0.959 | 5分26秒 | |
| 2031年11月14日 | 皆既日食 | 太平洋 | 1.011 | 1分08秒 | |
| 2032年05月09日 | 金環日食 | 南太平洋 | 0.996 | 22秒 | |
| 2033年03月30日 | 皆既日食 | 北米(アラスカ)、北太平洋 | 1.046 | 2分37秒 | |
| 2035年09月02日 | 皆既日食 | 日本(北関東〜北陸)、中国、朝鮮半島 | 1.032 | 2分54秒 | ○ |
| 2037年07月13日 | 皆既日食 | オーストラリア、ニュージーランド | 1.041 | 3分58秒 | |
| 2041年10月25日 | 金環日食 | 日本(近畿〜中部)、アジア | 0.920 | — | ○ |
日本で見える今後の日食
- 2030年6月1日(金環日食): 北海道を中心に観測可能。本州北部でも部分日食として見られます
- 2035年9月2日(皆既日食): 北関東から北陸にかけての地域で皆既帯が通過。東京でも食分0.99の深い部分食になります
- 2041年10月25日(金環日食): 近畿から中部にかけて金環帯が通過
月食カレンダー(2024〜2032年)
| 日付 | 種類 | 日本での観測 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2024年09月18日 | 部分月食 | 見えない | 北米・南米で観測 |
| 2025年03月14日 | 皆既月食 | 一部で月出帯食 | 西日本で部分食の終盤が見える |
| 2025年09月08日 | 皆既月食 | 全国で見える | 好条件 |
| 2026年03月03日 | 皆既月食 | 全国で全過程が見える | 最高条件。ブラッドムーン |
| 2026年08月28日 | 部分月食 | 見えない | 南北アメリカ・ヨーロッパ |
| 2028年01月12日 | 部分月食 | 見えない | 北米・南米 |
| 2028年07月07日 | 部分月食 | 月入帯食 | 明け方に西の空で |
| 2029年01月01日 | 皆既月食 | 全国で見える | 元日の皆既月食 |
| 2029年06月26日 | 皆既月食 | 見えない | 南北アメリカ |
| 2029年12月21日 | 皆既月食 | 月入帯食 | 明け方に西の空で |
| 2030年06月16日 | 部分月食 | 月入帯食 | 明け方に一部が見える |
| 2032年04月26日 | 皆既月食 | 全国で見える | 好条件 |
日食を安全に観測する方法
日食の観測では絶対に肉眼で太陽を直視してはいけません。数秒間でも網膜が損傷する「日食網膜症」を引き起こす危険があります。
安全な観測方法
| 方法 | 必要なもの | 特徴 |
|---|---|---|
| 日食グラス(日食メガネ) | ISO 12312-2適合品 | 最も手軽。数百円〜。必ず規格適合品を使用 |
| ピンホール投影 | 厚紙に小さな穴を開ける | 太陽を直視せず影を観察。安全性が高い |
| 太陽投影板付き望遠鏡 | 天体望遠鏡+投影板 | グループ観測に最適。太陽の黒点も見える |
| 太陽フィルター付き望遠鏡 | 専用フィルター | コロナやプロミネンスを詳細に観測可能 |
絶対にやってはいけないこと
- サングラスや下敷きで太陽を見る(紫外線・赤外線を通すため危険)
- フィルターなしの望遠鏡や双眼鏡で太陽を見る(集光されて一瞬で失明の危険)
- スマートフォンのカメラで直接太陽を撮影する(センサーが損傷する可能性)
- 破損・傷のある日食グラスを使う
2024年4月の皆既日食(記録)
2024年4月8日(日本時間4月9日未明)、メキシコ・米国・カナダの広域で皆既日食が観測されました。皆既帯は米国の13州を横断し、推定3,150万人が皆既帯の中にいました。
宇宙飛行士の若田光一さんもテキサスで昼間なのに夜のような体験をしたことをX(Twitter)で発信していました。皆既の最大継続時間は4分28秒(メキシコ・トレオン付近)で、21世紀で最も長い皆既日食の一つでした。
(credit: NASA 2024 total solar eclipse)
よくある質問(FAQ)
Q. 次の皆既日食はいつですか?
2026年8月12日です。グリーンランド、アイスランド、スペインで観測できます。ヨーロッパ本土での皆既日食は1999年以来27年ぶりです。その次は2027年8月2日にアフリカ北部(エジプト・リビア)で、最大6分23秒の長い皆既日食が起こります。
Q. 日本で次に皆既日食が見られるのはいつですか?
2035年9月2日です。北関東から北陸にかけて皆既帯が通過します。その前の2030年6月1日には北海道で金環日食が見られます。日本で前回皆既日食が見られたのは2009年7月22日(奄美大島・トカラ列島)でした。
Q. 日食グラスはどこで買えますか?
天体望遠鏡メーカー(ビクセン、ケンコー・トキナーなど)の公式サイト、大型家電量販店、科学館のミュージアムショップなどで購入できます。必ずISO 12312-2の規格に適合した製品を選んでください。100円ショップや出所不明のものは避けましょう。
Q. 皆既日食と金環日食の違いは何ですか?
どちらも月が太陽の前を横切る現象ですが、月と地球の距離によって見え方が変わります。月が地球に近いとき(見かけが大きいとき)は太陽を完全に覆って皆既日食になり、コロナが見えます。月が地球から遠いとき(見かけが小さいとき)は太陽の縁がリング状に残って金環日食になります。
Q. 日食はどのくらいの頻度で起きますか?
地球全体で見ると、日食は年に2〜5回起きています。ただし皆既日食の皆既帯は幅100〜200km程度と狭いため、同じ場所で皆既日食が見られるのは平均375年に1回です。だからこそ、2035年に日本で見られる皆既日食は貴重な機会です。
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